企業成⻑に影響を与えるメガトレンドであり、デジタルトランスフォーメーションにとって、最⼤の課題となるデータグラビティとは

  • Digital Realtyが発⾏するData Gravity Index™ (DGx)レポートで定義されたデータグラビティスコアで、東京はアジアパシフィック(APAC)で第1位、世界ではニューヨークを抜いて、ロンドンに次ぐ第2位にランクイン。

 


 

  • 2024年までに、東京は製造業、医薬品・化学品業、卸売業におけるデータグラビティの成⻑で世界トップの都市となる⾒込み。

 


 

  • 東京では2024年までにG2000企業の間で増加するデータ処理ニーズを背景に、データ処理量が3000ペタFLOPS (コンピューターデータ処理量/秒、Floating-point Operations Per Second) を超えると予想される。

 


 

  • APACは2024年までのデータグラビティの増加という点で最も急激に成⻑する地域であり、 主要企業のデータの中核に適した地域となる。  

     


 

2021年 3⽉ 17⽇ (東京時間)  ― 近年の調査によると、データグラビティ (アプリケーションやサービスをデータにより近い場所に引き寄せる重⼒) は、今後10年間で企業やITサービスプロバイダーに影響を与える重要なメガトレンドとして認識される⾒通しです。特に企業のイノベーションや顧客満⾜度の充実、さらには世界規模で各企業の収益性に影響を及ぼす可能性があります。この度、当社が発刊するData Gravity Index™(DGx)レポートでは、企業によるデータの⽣成、集約およびデータ交換を測定し、Forbes Global 2000 (G2000) に代表される、世界の主要企業への影響を調査しました。

 本調査では、2025年までに世界中のデータの約80%を企業が有すると予測されています。さらにAPAC地域にはクラウドサービスの需要増加と投資家や企業のデジタル化により、2023年までに世界のデータセンターの約30%が集中すると予測されています。

 Data Gravity Index™ (DGx) レポートは、⼤阪を含む重要なデジタルハブである世界各国53の都市と、23の産業における企業データの作成・集約・交換を測定することで⾼い接続性を持ちます。また隆盛を誇るテクノロジー企業や⾦融機関などデータドリブン型産業が豊富な地域で、指数関数的により多くのデータが引き寄せられるデータグラビティ効果により、企業データがより⼀層増加する要因を明らかにします。ギガバイト/秒で測定されるデータグラビティスコアは、世界全体で毎年2倍ずつ増加すると予想されます。これは世界の各企業が各国で⽣じるデータを集約、保存、管理する為に、⾃社のデジタルインフラを増強しようとしていることが背景にあります。


 2010年にデータグラビティという⽤語を考案し、本レポートDGxの研究を主導したDave McCrory⽒は次のように説明しています。

 「私たちはこれまで、データグラビティはデータを引き寄せるだけでなく、そのデータに依存する他のデータやアプリケーションサービスが、データから (物理的に) 離れられなくなる傾向を⾒てきました。これにより、⽇本の伝統的な製造業のような特定の産業に依存する都市は、同種のデータやサー ビスを⾃然に多く集めることができるという⼤きな利点を享受してきました。

 これはまた⼀⽅で、これらの都市からビジネスの機会を遠ざけてしまいます。なぜならビジネスの観点ではあまり有利ではないからです。データは重要な戦略的リソースです。

 しかしデータグラビティがより多くのデータを作成し引き寄せ続ける⼀⽅で、⼤きくなりすぎるとデータのビジネスにおける活⽤をかえって阻害することを意味します。」

 


東京の位置付け
 東京は世界で最もネットワークが集積する都市の1つであり、アジアで最もデータセンターが供給されていると同時に、データトランザクションとデータ集積が活発なアジアの主要マーケットであると考えられています。中国、韓国、その他アジア諸国、ロシア、ヨーロッパなど、多くの海外のクラウドサービスやインターネットサービスプロバイダーが東京を経由して⽇本市場に接続しています。

 特に茨城県と千葉県の海底ケーブル陸揚局の間に位置し海外とのデータ送受信に理想的な⽴地である千葉県印⻄市においては、今後数年でデータ量が⼤幅に増加すると予測されています。また⼤阪もデータトランザクションの増加が期待されるTier1市場として⾒られています。2024年までに東京は、製造業・医薬品・化学品・卸売業で世界トップの都市となるだけでなく、コンピュータ・エレクトロニクス業界においては世界第⼆位、銀⾏・⾦融サービス・保険業・⼩売業部⾨では第三位になると予測されています。


APACが企業成⻑の動⼒源に
 Digital Realtyの最新の調査によると、APACの年平均成⻑率 (CAGR) は2024年までに最⾼となる⾒込みです。DGxで予想される世界トップの2024年まではジャカルタ、次いでシンガポール (第2位)、⾹港 (第4位) 、メルボルン (第5位) 、東京 (第12位) と続きます。また北⽶と欧州・中東・アフリカ(EMEA) のCAGRは、それぞれ第⼆位と第三位としてAPACに続く⾒込みです。

 しかしAPAC各国の都市が⼤きくリードしている要因は、豊富な企業データだけでなくAPACの都市間のデータの流れでもあります。DGxレポートによると、APACには世界でも有数のデータの流れが多い都市間の組合せが数多く存在します。これは通商上の規制を各国同⼠で緩和していることや、都市を跨いで⾦融と製造業の中⼼地として繁栄していることに起因すると考えられます。 2024年までに東京から⾹港へのデータ通信は、都市間ごとのデータ通信の重要性でトップ10に⼊ると予測されています。

 ⾹港は貿易取引量が多く⼀⼤⾦融市場であり、中国本⼟へのゲートウェイを担っていると考えられています。他⽅、東京は⽇本の産業の中⼼都市であり⾦融市場であると同時に、⼤量にデータが⽣成される都市です。こうした背景から東京-⾹港間のデータの流れの重要性は2020年から2024年の間に増加し、トップ10であり続けると予想されています。なお北京から上海へのデータの流れも、引き続き2024年まではAPAC地域における都市間の重要なデータの流れと予測されます。


量⼦レベルのデータ
 他の都市とのオープンなデータ交換によりデータを活⽤したビジネスの繁栄という⼤きなメリットがあるにもかかわらず、そういったデータグラビティの⾼い都市にいることは企業にとってはプラスとマイナスの両⾯があります。多くの企業はデジタルトランスフォーメーションを通してより多くのデータを収集し⾃社ビジネスの変⾰を試みています。しかしその量に圧倒されてデジタルトランスフォーメーションの活⽤どころか、デジタルトランスフォーメーションの取り組み⾃体に苦戦しています。

 2024年までにForbesグローバル2000社全体として、量⼦コンピューティングを効果的に活⽤するために必要なだけのデータが蓄積されるようになります。こうした企業データを効率的に管理・活⽤するためには、さらに325エクサFLOPSのデータ処理能⼒と124エクサバイトものデータ保管容量が必要です。参考までに、IBM社の次世代量⼦コンピュータのデータ処理能⼒は2021年までに1.5エクサFLOPSの処理が可能とみられています。


このような管理の難しい膨⼤な量の企業データとそれによって増すデータグラビティは、情報システム部署を越えて企業に次のような課題をもたらしています。

 

(イノベーション) 

企業のデータを効率的に処理できないことは企業のイノベーションを妨げます。

 


 

(顧客・従業員満⾜度)

⼤量の企業データが⽣成されると効率的なデータ管理に限界が⽣じ、顧客及び⾃社の従業員の満⾜度が低下する恐れがあります。

 


 

(ITコスト)

より⼤量の企業データの収集・管理・処理には、より多くのコストが必要になります。

 


 

(コンプライアンス)

企業が保有する⼤量のデータは、規制やコンプライアンス関連の問題に対処する際にその企業にとっての課題となります。

 


 

(セキュリティ)

管理すべきデータが増えると、悪質なハッキングに遭遇する恐れが増加します。

 




Digital RealtyのCEO、A.William Stein⽒は次のように述べています。

「DGxレポートでは、データグラビティに囚われないよう、企業が⾃社データを中⼼に据えたITインフラとネットワークを設計の上、トラフィックの流れを⾃社データを中⼼としたフローにし、⾃社で管理するデータにユーザーやネットワーク、クラウドサービスを接続する形が求められていることを⽰しています。

グローバル企業にとって、データを保管する場所は戦略的に決める必要があります。グローバルなビジネスの中⼼地でデータを保管する場所とデータを接続する⽅法を決めるには、より接続性の⾼いデ ータセンターなどのデータコミュニティに繋がることが求められます。我々は、企業にとって重要な課題であるデジタルトランスフォーメーションに向けた、戦略的な意思決定を⽀援し、よりマッチした提案をお客様と業界全体に提供できることを嬉しく思っています。」

 

 

データグラビティを促すマクロトレンド

 データグラビティ増加のメガトレンドは複合的なビジネスの成⻑要素に起因するものであり、それらの成⻑要素の多くはCOVID-19によって、世界中でより多くのビジネスがオンライン化する事で、ここ数ヶ⽉で加速しています。

 


 

(企業によるデータ管理責任)

農村部から都市部への⼈⼝の世界的なシフトは2030年までに世界43都市が各々1000万⼈以上の⼈⼝となることを意味しており、それは企業が管理するユーザーデータの増加も意味します。

 


 

(企業の合併・買収(M&A))

グローバル化によりM&A件数は⼤幅に増加しており、実際2021年にはCOVID-19以前の⽔準に戻ると予想されています。この結果、地域ごとに交換されるデータソースが増加します。

 


 

(デジタルに対応したコミュニケーション)

ビジネスの現場は対⾯型の物理的なコミュニケーションからデジタルへと移⾏しており、デジタルに対応したコミュニケーションは従来の物理的なコミュニケーションの倍ほどの重要性だと認識されています。デジタルに対応したコミュニケーションは、より多くの企業データの⽣成を意味します。

 


 

(データのローカリゼーション)

法規制の拡⼤により、各国のローカルにデータを保管する必要性が⾼まっています。データが⽣成される事業拠点の増加に伴い、2022年までに情報システムの意思決定者の87%がコンプライアンス関連の⽬的で、顧客情報や商取引データのローカルコピーの保管を志向するようになります。

 


 

(サイバー・フィジカル)

企業はサイバーセキュリティ向上のために、物理システムとデジタル・システムの統合をより⼀層進めています。2033年までにセキュリティ製品の70%がデジタルに統合され、⽣成・交換されるデータの種類と量が更に増加すると予測されます。

 


データグラビティ算出⽅法

 https://www.digitalrealty.com/platform-digital/data-gravity-indexを参照してください。






Digital Realtyについて

 Digital Realtyは、データセンター、コロケーション、および相互接続ソリューションなどのあらゆる領域のサービスを提供することにより、世界の企業およびサービスプロバイダをサポートします。同社のグローバルなデータセンタープラットフォームPlatformDIGITAL ®は、お客様のデジタルビジネスの成⻑を促進し、データグラビティの課題に効率的に対処するための信頼できるITインフラ基盤と、実績ある汎⽤的なデータセンターアーキテクチャーをお客様にご提案します。
 Digital Realtyは、世界6⼤陸、24カ国、49都市に290以上のデータセンターを運営し、お客様にとって重要な接続コミュニティにアクセスすることができます。Digital Realtyの詳細はdigitalrealty.comをご覧いただくか、LinkedInとTwitterをご確認ください。


MCデジタル・リアルティについて
 MCデジタル・リアルティ株式会社は、三菱商事株式会社とDigital Realty Trust Inc. (米国上場リート) の折半合弁会社として2017年9月に設立されました。当社は、大手クラウド事業者等の顧客がデータ処理等を行う上で必要な高い堅牢性とセキュリティ、安定した電力・空調、並びにネットワークサービス等を24時間365日提供します。
 三菱商事のITや不動産・インフラ知見、ならびに業界大手Digital Realtyのグローバルな顧客網、大規模データセンターの開発・運用知見を活かし、本邦データセンター業界を牽引、社会の発展に貢献します。

URL: https://www.mc-digitalrealty.com/


将来の⾒通しに関する記述

 本プレスリリースには、データグラビティインデックスDGx™、強度係数、データの重⼒に関する当社の予想、データの増加、予想される世界的な傾向など、実際の成果や結果が⼤きく異なる可能性のあるリスクや不確実性を伴う現在の予想、予測、仮定に基づく将来予想に関する記述が含まれています。リスクと不確実性のリストと説明については、同社が⽶国証券取引委員会に提出した報告書およびその他の書類をご参照ください。当社は新たな情報、将来の事象、その他の結果にかかわらず、将来の⾒通しに関する記述を更新または改訂する意図、または義務を否定します。


本リリースに関するお問合せ先について
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