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sXGPによって自営通信はどう変わる? ほかの通信方式との違いや活用事例を紹介


オフィス内や工場内、またはイベント会場などの通信環境を構築する際、どのような方式を採用するかは非常に重要です。これまでは主に、自営通信方式の1つであるPHSが利用されてきましたが、近年それに代わる方式としてsXGPが注目を集めています。

本記事では、sXGPの概要と従来の自営通信方式との違い、そして得られるメリットを解説していきます。


目次[非表示]

  1. 1.1.sXGPとは
  2. 2.2.sXGPとほかの通信方式との違い
  3. 3.3.sXGPのメリット
    1. 3.1.①広範囲で安定した通信を実現できる
    2. 3.2.②モバイル端末を安全に運用できる
    3. 3.3.③柔軟性の高いネットワークを構築できる
  4. 4.4.sXGPの活用事例
    1. 4.1.①医療機関
    2. 4.2.②製造業
    3. 4.3.③娯楽・イベント施設
  5. 5.まとめ


1.sXGPとは

sXGP(shared eXtended Global Platform:シェアード・エクスタンダード・グローバル・プラットフォーム)とは、スマートフォンやモバイルルーターなどのモバイル端末で採用されるTD-LTEを使った、自営通信方式のことです。

ワイヤレス通信が可能なデバイスなら基本的に対応しているうえに、工場のセンサーや監視カメラなどのIoT化にも応用できます。かつて主流だったPHSの後継サービスとして期待されており、PHSでできていたことの多くを再現しながら、利用用途を拡張できている点が強みです。



2.sXGPとほかの通信方式との違い

通信方式にはほかにもさまざまな種類がありますが、sXGPはそれらとどのような点が異なるのでしょうか。以下に、主要な通信方式とsXGPの違いを整理しました。


▼sXGPとほかの通信方式との比較


比較
項目

sXGP

ローカル5G

自営BWA

Wi-Fi6


周波
数帯

1.9GHz帯

4.7GHz帯
28GHz帯

2.5GHz帯

2.4GHz帯
5GHz帯

免許

不要

必要

必要

不要


通信
速度

10Mbps台

1Gbps前後

100Mbps台

最大9.6Gbps

カバーエリア

半径100m前後

屋内:数十m
屋外:数百m

半径2km前後

10~30m程度


sXGPの優れている点としてまず挙げられるのが、免許が不要であり、導入までのハードルが低いことです。ローカル5Gおよび自営BWAは免許が必要なうえに、前者は導入コストがほかの方式と比較すると高く、後者はすでに地域BWAが存在するエリアには設置できないという弱点があります。

Wi-Fi6も免許は不要ですが、カバーエリアがsXGPよりも狭く、利用者が移動すると通信を安定させられません。sXGPは、導入の容易さと確実な通信環境の実現を両立している点で、ほかの通信方式に勝っています。

ただし、通信速度はそこまで速くないため、大容量のデータをやり取りするケースには向いていません。



3.sXGPのメリット

sXGPを導入すると、具体的には以下の3つのメリットを得られます。


①広範囲で安定した通信を実現できる

sXGPは、広範囲かつ安定した通信環境を提供できます。

sXGPの基地局のカバーエリアは、先に解説したとおり半径100m前後に及ぶため、少ない基地局で広範囲に通信環境を構築することが可能です。また、通信の質も安定しており、移動中の通話やデータのやり取りが途切れにくい強みもあります。


②モバイル端末を安全に運用できる

sXGPなら、普段の業務で利用しているスマートフォンをはじめとするモバイル端末の、安全な運用も実現します。

sXGPには、一般的なモバイル端末の通信規格と同じものが採用されているため、業務で利用しているスマートフォンもそのまま流用できます。また、sXGPと端末の接続および認証は、専用のSIMカードにて行われるため、不正なデバイスの接続や不正な通信が発生する心配もほとんどありません。


③柔軟性の高いネットワークを構築できる

柔軟性の高いネットワークを構築できるのも、sXGPのメリットの1つです。

sXGPのコアネットワーク装置は、オンプレミスだけではなくクラウド上に構築することも可能です。クラウド上に環境を構築すれば、アクセスポイントの増設や移動、構成の変更にも比較的容易に対応できるため、より導入のハードルを下げられます。



4.sXGPの活用事例

sXGPは、実際にどのような業界・現場にて活用されているのでしょうか。ここからは、3つの活用事例を紹介していきます。


①医療機関

事例としてまず挙げられるのが、医療機関での活用例です。

これまで医療機関では自営PHSによって通信環境を構築していましたが、その後継としてsXGPを採用する機関が増えてきています。安定した通信と強固なセキュリティを同時に担保できるsXGPは、病院での利用に最適だからです。

sXGPを導入することで、スマートフォンでの電子カルテの確認や、患者の状態のリモートかつリアルタイムの確認などが実現します。これにより、患者の管理体制をより強固にしつつ、スタッフの業務効率改善も図れます。


②製造業

作業の自動化や無人化が進む製造業でも、sXGPが活用されています。

製造業では、業務の省力化・効率化を目指して、センサー類のIoT化や無人搬送車の普及が進められています。それらの通信を支える基盤として必要なのが、sXGPです。

sXGPの広域かつ高品質な通信環境は、IoT機器の設置場所を柔軟に変更できるうえに、回線断が少ないため無人搬送車の稼働にもほとんど支障が出ません。くわえて、sXGPの通信網は完全プライベートでセキュリティも担保されているため、製品に関する機密情報も安心して取り扱うことができます。


③娯楽・イベント施設

sXGPは、多くの人が集まる娯楽施設やイベント施設の通信環境も支えています。

大勢の人が集まる場所では、公共回線がパンクして通信がつながりにくくなるケースも珍しくありません。sXGPなら専用の通信ネットワークを構築できるうえに、人混みや障害物が多くとも安定した通信を提供できます。電子チケットシステムの稼働やステージ映像の会場内中継など、観客を楽しませるサービスの実現には、sXGPの安定した通信環境が欠かせません。



まとめ

この記事では、sXGPについて以下を解説しました。

  • sXGPの概要
  • sXGPとほかの通信方式の違い
  • sXGPのメリット
  • sXGPの活用事例

sXGPは、導入のしやすさや通信の安定感、そして利用用途の幅広さから、今後さまざまな業種の現場でさらに活用されていくと考えられます。もし自社の現状の通信環境を改善したいのであれば、sXGPの導入を検討するのも一案です。

sXGPについてより詳しく知りたいとお考えの方は、ぜひMCデジタル・リアリティまでお問い合わせください。

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